見るための、もしくは見られないための箱 a.k.a GOLDEN BOX











見るための、もしくは見られないための箱 a.k.a GOLDEN BOX
2019
サーマルブランケット、木材、ビス、上小阿仁村


 秋田県の上小阿仁村にて設置されたインスタレーション作品。シートはマジックミラーのように、暗い場所から明るい場所を見ることができ、また明るい場所から暗い場所は光が反射して見えなくなる。この金色(裏面は銀色)のシートはサーマルブランケットと呼ばれ、保温性、熱遮断性に優れることから防災グッズ、また人工衛星の外壁部などで使われているものである。


 上小阿仁村の八木沢集落は山に囲われ、携帯電波の電波の届かないエリアである。スマートフォンからその場所を航空写真として検索し、視ることができるが、この村の中に入ったらそれも不可能になる。僕はこの場所を外部から知るために、当たり前のようにgoogleで検索し、地図を開き、この場所を覗いていた。しかしこの場所に入り、外界との接続が切れた時に自分の視座を見られる側として体感をした。空から見ていたその視座は、神の視座と、そして人工衛星からの視座とが重なっている。ぼくは、「何者か」の視座から一方的に見られないために、そして、この場所から一方的に視るための箱をつくった。